●ニホントビナナフシ採集編●
 2002夏、私は緑の残る公園や森に、手当たり次第出かけた。ナナフシを捕まえたい一心で歩き回った。特に、トビナナフシ類は実物を見たことがなく、またトゲナナフシも累代飼育にミスしており、この両者は何としても見つけたかったのだ。
 8月上旬に、藤沢市にある「少年の森」や「遠藤笹窪谷戸」、茅ヶ崎の「茅ヶ崎里山公園」と「茅ヶ崎中央公園」に行ったが0行進であった。隠れるのが得意な虫である。1回や2回行ったくらいでは見つからないということか。せめてもの救いは、少年の森でオニヤンマの「黄昏飛行」を目撃できたこと。3〜4匹は確認できた。

 8月22日は、ナナフシ探検に森林浴をかねて、神奈川県南西部にある県立の森へ。鎌倉の自宅からは、行きも帰りも3時間ほどかかってしまった。到着後、車外に出るとクーラーでは味わえない心地よい涼しさを感じた。「晴れているのに涼しい! 都会では、晴=暑なのに」。これは山の上で標高が高いからか、また、ヒートアイランド現象の影響が少ないからか・・・。それにしても、ここは人が少ない。トイレと森の事務所と休憩所くらいしかない。

 早速、ビーティングやらスウィーピングしながら薄暗いウォーキングコースを進む。そのファーストタッチとなったコナラをたたくと、突然1匹のナナフシが落ちてきた! 体長3.5センチ半、ひと目でナナフシの幼虫だとわかったが、見慣れない姿である。モドキよりずっと太いのだ。しかし、「トビナナフシだ!と直感した。これが我が人生初のトビナナフシとの出会いであった。その後、蚊の大群と戦いながら40分程歩いて元の場所に戻ってくる間に、さらに2匹の合計3匹のトビナナフシの幼虫をゲット!

 次は森の反対側を探索してみることに。スタートしてすぐ、2本の大きなクヌギの樹が立っていた。葉は濃緑で、大きな葉をたくさんつけている。「期待できそう」と思いながら葉を見渡していくと、幼虫1匹を発見! さらにさらにすぐ近くの葉を見ていくと、続々と幼虫が見つかった。数は十数匹といったところだろうか(この木全体ではどれくらいいるのだろう)。ほとんどが葉表におり、捕まえようとすると裏に隠れる。なかなかすばしこいので、手っ取り早く叩き落してみることにした。しかし、落ちない。しっかりと葉や枝にしがみつき、いくら強くたたいてもゆすっても落ちないのだ。このとき思った。「ビーティングして捕れなくとも、そこにいないとは限らないのではないか。」「葉裏にくっつくと落ちにくくなるので、葉表でのんびりしている(?)ところを不意打ちするといいのでは?」と。それは試してみなかったが、たたいてもたたいても落ちないものがいることは確かなようだ。

 さらに20分ほど歩いたところで5時のチャイムが鳴ったので、これを機に引き返すことに。10mほど引き返した所で、ふと目に留まったものがあった。翅が生えてて、貧弱な体つき・・・。「トビナナのオスだ!」 薄暗く、人気のまったくない園道で、はやる気持ちを落ち着かせながら人生初のトビナナ♂をゲット! そしてこの時点で、今まで採集したトビナナフシは「ニホントビナナフシ」だと確信した。トビナナフシ類3種の中でオスが確認されているのは、ニホントビだけだからである(執筆時点で)。

 神奈川の、しかも山地でのオスの発見が珍しいことは確かであろう。トンボ出版『ナナフシのすべて』(著:岡田正哉)に、ニホントビの生殖について「九州以北ではおもに単為生殖、屋久島以南では両性生殖をするとおもわれます。」とあるからである。しかし、どれほど珍しいかは、私にはよくわからない。

採集した昆虫は次のとおり。
  ニホントビナナフシ(幼虫7 雄成虫1)・・・もっといたけど、飼育が大変なのでこれくらいに。
  アシグロツユムシの幼虫
見かけた主な昆虫は次のとおり。
  コフキトンボ キチョウ ラミーカミキリ ショウリョウバッタ

 今後は、今回採集したニホントビを飼育し、両性生殖と単為生殖のそれぞれについて、卵の孵化率や雄出現率などを調べてみようと思っています(こう宣言して、自らにプレッシャーを加えているのであります・・・)。


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