●ナナフシの名前の由来

 これははっきりしません。2つの考えがあります。

1.七節=たくさんの節をもつ昆虫(岡田正哉氏の説)

  『日本動物大百科8 昆虫I』(1996)
「腹部は11節.〜中略〜 外観上は9節もしくは10節に見える.和名ナナフシは,体節が7つあるからではなく,「7つ=たくさんの」の意味であり,転じて「たくさんの節を持つ虫」すなわち「ナナフシ」(「ナナフシムシ」とも呼ばれた)と名づけられたのであろう.漢名「竹節虫」は,ナナフシの外観が節くれだった竹の小枝に似ていることからの連想であろう.」
  『ナナフシの全て』(岡田正哉,1999)
「“七転び八起き”ということわざがあります.たくさん失敗してもすぐ立ち上がるということで,「七」はたくさんという意味です.ナナフシにはたくさんの節があります.そんなところから,たくさんの節のある虫と見られ,名前もナナフシ(ナナフシムシ)となったのでしょう.」


2.腹部が7節から構成されることから

  江戸時代の昆虫の図譜『千蟲譜』(栗本昌臧,1811)には次のようにあります。

・この中に「尾長??七節アリ因テナゝフシノ名アリ」とあり、腹部が7節あるというのが名前の由来だとしているようです(??にはツメと書いてあるように見えるのですが・・・)。図はナナフシモドキだと思われ、腹部は7節描かれているようにも見えます。
・ちなみに、「大毒蟲ナリ」「蜘蛛ノ種類ナルヨシ糸ヲモ出サズ」といった記述があり、毒があるとか、クモの仲間だという誤解が読み取れます。現に毒があると言い伝えられている地域はあるとのことです(内田正吉,埼玉県昆虫誌T,p.125-128)。

 関連:「ナナフシの形態学



●ナナフシって何の仲間なの?

 擬態昆虫として有名なナナフシ。葉っぱに擬態していることでおなじみのコノハムシも、ナナフシの仲間に含まれます。
 ナナフシの仲間は世界で約2500種が確認されています。
彼らは直翅系昆虫にふくまれ、ハサミムシ・バッタ・カマキリ・ゴキブリたちの親戚です。
 日本では現在、18種が確認されています。ナナフシは熱帯性の昆虫とのことで、東南アジアやアマゾンなどの熱帯の方に多くの種類がいるようです。
 関連:「日本のナナフシ全18種の分類

 日本のナナフシには比較的シンプルな形態のものが多いですが、外国には奇抜な姿をした種も少なくないようです。「外国の昆虫関連ページ」に世界のナナフシを紹介しているサイトへのリンクを載せていますので、参考にしてください。


●ナナフシの生態

 カブトムシやチョウなどが行う「卵→幼虫→サナギ→成虫」という変態を「完全変態」と呼びます。それに対して、「卵→若虫→成虫」という変態を「不完全変態」と呼びます。不完全変態の昆虫はサナギの時期がなく、幼虫がすでに親と似た姿をしています。ナナフシはこちら側の昆虫です。
 不完全変態の昆虫では、幼虫は正確には「若虫(nymph,ニンフ)」と呼ばれます。一般にはどちらかというとなじみのある言葉ではないので、当HPでは幼虫という言葉を使ってしまっています。

 ナナフシは夜行性の種が多いです。昼間はじっとしていることが多いですが、夜は意外と活発に動きます。夜中にそっと観察してみると、ナナフシの昼間には見れない姿が見られるかもしれません。

 ナナフシの卵は、種類によって形が大きく異なりますが、植物の種に擬態しているといわれています。自然界では、卵の段階から熾烈な生存競争が始まっているのかもしれません。

 ナナフシの仲間は、変わった生殖をする種が多いことでも有名です。単為生殖(メスが交尾をせずに卵を産み、子孫を残す)を行うもの、両性生殖を行うもの、それら両方を行えるもの、同種でも地域によりどちらを行うか変わってくるものがいます。幼虫の脱皮回数は種や性別により異なり、だいたい4〜9回脱皮して成虫になります。

 ナナフシが敵から身を守る方法。一種が全ての方法を取るわけではありません。
 ※おおざっぱに1〜5が視覚、6〜7が触覚、8が臭覚に関するものといえます。
  1. 隠蔽的擬態
    まずは、隠れることが基本。木の枝、葉っぱ、地面の色、さらにコケに擬態するものもいます。脚を伸ばすなどのポーズもとります。
  2. ベイツ型擬態?
    脅かされると、腹部を上に丸めることがある。これはサソリに似せて身を守っているのだという人がいる。また、1齢幼虫が高速で歩き回るのは、アリの行動を模倣しているのだという。これが本当なら、人気のない他の生物に擬態しているという点でいわゆるベイツ型擬態といえるのではないか。
  3. 逃避
    近づいただけ、もしくはちょっと触れただけで、葉や枝からパッと脚を離して地面に落ちる(落下)。落下してしばらくは動かずにやり過ごすようで、つかんでも動かないこともある(死んだまね)。翅を持つものは、飛翔・滑空することもある。
  4. ゆらゆら
    何かが近づく気配がすると、体を左右に振る行動を取ることがあります。「威嚇」と採ることができます。しかし、風に揺れているように見せ、自分は非生物だよということを示したいのかもしれない。だとしたら「擬態」に近いといえます。
  5. 威嚇
    翅をいきなり広げて、体を大きく見せたり、後翅に隠し持っている目立つ色(警戒色)を見せる。脚を振り上げる。また、脚や翅でシューシューと音を出す。
  6. 死んだまね
    つかんだり、刺激を加えても、脚をピンと伸ばして動かなくなることがある。。
  7. 反撃
    例えば、サカダチコノハムシ(Heteropteryx dilatata)は後脚の鋭いトゲで敵をはさみます。
  8. 外部構造物
    外骨格を厚くしたり、体にトゲをまとったり。
  9. 化学的防御
    ・日本のヤエヤマツダナナフシは、刺激を受けると臭いのある白い防御液を胸部から出します。海外にはかなり危険な液体を噴射する種もいます(目が一時的に見えなくなるなど)。
    ・つかむと口から胃の内容物を出すことがあるが、これも含めていいのではないか。
  10. 自割と再生
    捕まってしまったら、脚を切って逃げます。トカゲの自切と同じです。切れるところは決まっています。自割や外傷、脱皮によって失われた脚や触角は、若い幼虫では、脱皮のたびに少しずつ再生してきます。
     関連:「ナナフシの再生


 ナナフシは、非常に飼育しやすい昆虫です。草食性なので共食いもせず、身近な植物で飼育できます。あえて難点を挙げれば、簡単に殖えすぎてしまうこと、かもしれません。ナナフシを見かけたら、持ち帰って飼育してみませんか?
 それでは、「ナナフシの飼い方」へ! 


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